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[日文]人间失格 作者 太宰治-第8部分
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などと本気に思って、ヒラメの家を出たのでは無かったのでした。それは、ただ、わずかでも、つかのまでも、ヒラメに安心させて置きたくて、(その間に自分が、少しでも遠くへ逃げのびていたいという探偵小説的な策略から、そんな置手紙を書いた、というよりは、いや、そんな気持も幽《かす》かにあったに摺い胜い韦扦工ⅳ饯欷瑜辘狻ⅳ浃悉曜苑证稀ⅳい胜辚谣楗幛衰伐绁氓蛴毪ā⒈摔蚧炻业被螭丹护皮筏蓼Δ韦ⅳ饯恧筏盲郡肖辘恕ⅳ趣扦庋预盲郡郅Δⅳい椁_かも知れません。どうせ、ばれるにきまっているのに、そのとおりに言うのが、おそろしくて、必ず何かしら飾りをつけるのが、自分の哀しい性癖の一つで、それは世間の人が「嘘つき」と呼んで卑しめている性格に似ていながら、しかし、自分は自分に利益をもたらそうとしてその飾りつけを行った事はほとんど無く、ただ雰囲気《ふんいき》の興覚めた一変が、窒息するくらいにおそろしくて、後で自分に不利益になるという事がわかっていても、れいの自分の「必死の奉仕」それはたといゆがめられ微弱で、馬鹿らしいものであろうと、その奉仕の気持から、つい一言の飾りつけをしてしまうという場合が多かったような気もするのですが、しかし、この習性もまた、世間の所謂「正直者」たちから、大いに仱激椁欷毪趣长恧趣胜辘蓼筏浚─饯螘r、ふっと、記憶の底から浮んで来たままに堀木の住所と姓名を、用梗味摔摔筏郡郡幛郡蓼扦问陇坤盲郡韦扦埂W苑证膝谣楗幛渭窑虺訾啤⑿滤蓼蓼遣饯肖伪兢驂婴辍ⅳ饯Δ筏啤ⅳ浃盲绚晖痉饯摔欷皮筏蓼い蓼筏俊W苑证稀⒔预摔ⅳい饯いい铯辘恕ⅰ赣亚椤工趣いΔ猡韦颉ⅳい沥嗓鈱g感した事が無く、堀木のような撸Г佑堰_は別として、いっさいの附き合いは、ただ苦痛を覚えるばかりで、その苦痛をもみほぐそうとして懸命にお道化を演じて、かえって、へとへとになり、わずかに知合っているひとの顔を、それに似た顔をさえ、往来などで見掛けても、ぎょっとして、一瞬、めまいするほどの不快な戦慄に襲われる有様で、人に好かれる事は知っていても、人を愛する能力に於《お》いては欠けているところがあるようでした。(もっとも、自分は、世の中の人間にだって、果して、「愛」の能力があるのかどうか、たいへん疑問に思っています)そのような自分に、所謂「親友」など出来る筈は無く、そのうえ自分には、「訪問《ヴィジット》」の能力さえ無かったのです。他人の家の門は、自分にとって、あの神曲の地獄の門以上に薄気味わるく、その門の奥には、おそろしい竜みたいな生臭い奇獣がうごめいている気配を、誇張でなしに、実感せられていたのです。誰とも、附き合いが無い。どこへも、訪ねて行けない。堀木。それこそ、冗談から駒が出た形でした。あの置手紙に、書いたとおりに、自分は浅草の堀木をたずねて行く事にしたのです。自分はこれまで、自分のほうから堀木の家をたずねて行った事は、いちども無く、たいてい電報で堀木を自分のほうに呼び寄せていたのですが、いまはその電報料さえ心細く、それに落ちぶれた身のひがみから、電報を打っただけでは、堀木は、来てくれぬかも知れぬと考えて、何よりも自分に苦手の「訪問」を決意し、溜息《ためいき》をついて市電に仱辍⒆苑证摔趣盲啤ⅳ长问坤沃肖扦郡盲恳护膜晤mみの綱は、あの堀木なのか、と思い知ったら、何か脊筋《せすじ》の寒くなるような凄《すさま》じい気配に襲われました。堀木は、在宅でした。汚い露路の奥の、二階家で、堀木は二階のたった一部屋の六畳を使い、下では、堀木の老父母と、それから若い職人と三人、下駄の鼻緒を縫ったり叩いたりして製造しているのでした。堀木は、その日、彼の都会人としての新しい一面を自分に見せてくれました。それは、俗にいうチャッカリ性でした。田舎者の自分が、愕然《がくぜん》と眼をみはったくらいの、冷たく、ずるいエゴイズムでした。自分のように、ただ、とめどなく流れるたちの男では無かったのです。「お前には、全く呆《あき》れた。親爺さんから、お許しが出たかね。まだかい」逃げて来た、とは、言えませんでした。自分は、れいに依って、ごまかしました。いまに、すぐ、堀木に気附かれるに摺い胜い韦恕ⅳ搐蓼筏蓼筏俊!袱饯欷稀ⅳ嗓Δ摔胜毪怠埂袱ぁ⑿Δい搐趣袱銦oいぜ。忠告するけど、馬鹿もこのへんでやめるんだな。おれは、きょうは、用事があるんだがね。この頃、ばかにいそがしいんだ」「用事って、どんな?」「おい、おい、座蒲団の糸を切らないでくれよ」自分は話をしながら、自分の敷いている座蒲団の綴糸《とじいと》というのか、くくり紐《ひも》というのか、あの総《ふさ》のような四隅の糸の一つを無意識に指先でもてあそび、ぐいと引っぱったりなどしていたのでした。堀木は、堀木の家の品物なら、座蒲団の糸一本でも惜しいらしく、恥じる色も無く、それこそ、眼に角《かど》を立てて、自分をとがめるのでした。考えてみると、堀木は、これまで自分との附合いに於いて何一つ失ってはいなかったのです。堀木の老母が、おしるこを二つお盆に載せて持って来ました。「あ、これは」と堀木は、しんからの孝行息子のように、老母に向って恐縮し、言葉づかいも不自然なくらい丁寧に、「すみません、おしるこですか。豪気だなあ。こんな心配は、要らなかったんですよ。用事で、すぐ外出しなけれゃいけないんですから。いいえ、でも、せっかくの御自慢のおしるこを、もったいない。いただきます。お前も一つ、どうだい。おふくろが、わざわざ作ってくれたんだ。ああ、こいつあ、うめえや。豪気だなあ」と、まんざら芝居でも無いみたいに、ひどく喜び、おいしそうに食べるのです。自分もそれを啜《すす》りましたが、お湯のにおいがして、そうして、お餅をたべたら、それはお餅でなく、自分にはわからないものでした。決して、その貧しさを軽蔑したのではありません。(自分は、その時それを、不味《まず》いとは思いませんでしたし、また、老母の心づくしも身にしみました。自分には、貧しさへの恐怖感はあっても、軽蔑感は、無いつもりでいます)あのおしること、それから、そのおしるこを喜ぶ堀木に依って、自分は、都会人のつましい本性、また、内と外をちゃんと区別していとなんでいる枺─稳摔渭彝イ螌g体を見せつけられ、内も外も変りなく、ただのべつ幕無しに人間の生活から逃げ廻ってばかりいる薄馬鹿の自分ひとりだけ完全に取残され、堀木にさえ見捨てられたような気配に、狼狽《ろうばい》し、おしるこのはげた塗箸《ぬりばし》をあつかいながら、たまらなく侘《わ》びしい思いをしたという事を、記して置きたいだけなのです。「わるいけど、おれは、きょうは用事があるんでね」堀木は立って、上衣を着ながらそう言い、「失敬するぜ、わるいけど」その時、堀木に女の訪問者があり、自分の身の上も急転しました。堀木は、にわかに活気づいて、「や、すみません。いまね、あなたのほうへお伺いしようと思っていたのですがね、このひとが突然やって来て、いや、かまわないんです。さあ、どうぞ」よほど、あわてているらしく、自分が自分の敷いている座蒲団をはずして裏がえしにして差し出したのを引ったくって、また裏がえしにして、その女のひとにすすめました。部屋には、堀木の座蒲団の他には、客座蒲団がたった一枚しか無かったのです。女のひとは痩《や》せて、脊の高いひとでした。その座蒲団は傍にのけて、入口ちかくの片隅に坐りました。自分は、ぼんやり二人の会話を聞いていました。女は雑誌社のひとのようで、堀木にカットだか、何だかをかねて頼んでいたらしく、それを受取りに来たみたいな具合いでした。「いそぎますので」「出来ています。もうとっくに出来ています。これです、どうぞ」電報が来ました。堀木が、それを読み、上機嫌のその顔がみるみる険悪になり、「ちぇっ! お前、こりゃ、どうしたんだい」ヒラメからの電報でした。「とにかく、すぐに帰ってくれ。おれが、お前を送りとどけるといいんだろうが、おれにはいま、そんなひまは、無えや。家出していながら、その、のんきそうな面《つら》ったら」「お宅は、どちらなのですか?」「大久保です」ふいと答えてしまいました。「そんなら、社の近くですから」女は、甲州の生れで二十八歳でした。五つになる女児と、高円寺のアパ趣俗·螭扦い蓼筏俊7颏人绖eして、三年になると言っていました。「あなたは、ずいぶん苦労して育って来たみたいなひとね。よく気がきくわ。可哀そうに」はじめて、男めかけみたいな生活をしました。シヅ子(というのが、その女記者の名前でした)が新宿の雑誌社に勤めに出たあとは、自分とそれからシゲ子という五つの女児と二人、おとなしくお留守番という事になりました。それまでは、母の留守には、シゲ子はアパ趣喂芾砣摔尾课荬沁'んでいたようでしたが、「気のきく」おじさんが撸Г酉嗍证趣筏片Fわれたので、大いに御機嫌がいい様子でした。一週間ほど、ぼんやり、自分はそこにいました。アパ趣畏櫎韦工敖坞娋に、奴凧《やっこだこ》が一つひっからまっていて、春のほこり風に吹かれ、破られ、それでもなかなか、しつっこく電線にからみついて離れず、何やら首肯《うなず》いたりなんかしているので、自分はそれを見る度毎に苦笑し、赤面し、夢にさえ見て、うなされました。「お金が、ほしいな」「……いくら位?」「たくさん。……金の切れ目が、縁の切れ目、って、本当の事だよ」「ばからしい。そんな、古くさい、……」「そう? しかし、君には、わからないんだ。このままでは、僕は、逃げる事になるかも知れない」「いったい、どっちが貧乏なのよ。そうして、どっちが逃げるのよ。へんねえ」「自分でかせいで、そのお金で、お酒、いや、煙草を買いたい。剑坤盲苾Wは、堀木なんかより、ずっと上手なつもりなんだ」このような時、自分の脳裡におのずから浮びあがって来るものは、あの中学時代に画いた竹一の所謂「お化け」の、数枚の自画像でした。失われた傑作。それは、たびたびの引越しの間に、失われてしまっていたのですが、あれだけは、たしかに優れている剑坤盲郡瑜Δ蕷荬工毪韦扦埂¥饯吾帷ⅳ丹蓼钉藁い皮撙皮狻ⅳ饯嗡激こ訾沃肖我萜筏摔稀⑦hく遠く及ばず、自分はいつも、胸がからっぽになるような、だるい喪失感になやまされ続けて来たのでした。飲み残した一杯のアブサン。自分は、その永遠に償い難いような喪失感を、こっそりそう形容していました。剑卧挙訾毪取⒆苑证窝矍挨恕ⅳ饯物嫟卟肖筏恳槐违ⅴ芝单螭沥椁膜い评搐啤ⅳⅳⅰⅳⅳ谓}をこのひとに見せてやりたい、そうして、自分の画才を信じさせたい、という焦燥《しょうそう》にもだえるのでした。「ふふ、どうだか。あなたは、まじめな顔をして冗談を言うから可愛い」冗談ではないのだ、本当なんだ、ああ、あの剑蛞姢护皮浃辘郡ぁⅳ瓤哲灓螣⿶灐钉悉螭猡蟆筏颏筏啤ⅳ栅い葰荬颏āⅳⅳ椁幛啤ⅰ嘎怠¥工胜趣狻⒙胜椤④ツ兢瑜辘稀ⅳΔ蓼い膜猡辘馈工饯巍ⅳ搐蓼筏蔚阑窝匀~のほうが、かえってまじめに信ぜられました。「そうね。私も、実は感心していたの。シゲ子にいつもかいてやっている漫画、つい私まで噴き出してしまう。やってみたら、どう? 私の社の編輯長《へんしゅうちょう》に、たのんでみてあげてもいいわ」その社では、子供相手のあまり名前を知られていない月刊の雑誌を発行していたのでした。……あなたを見ると、たいていの女のひとは、何かしてあげたくて、たまらなくなる。……いつも、おどおどしていて、それでいて、滑稽家なんだもの。……時たま、ひとりで、ひどく沈んでいるけれども、そのさまが、いっそう女のひとの心を、かゆがらせる。シヅ子に、そのほかさまざまの事を言われて、おだてられても、それが即《すなわ》ち男めかけのけがらわしい特伲胜韦馈ⅳ人激à小ⅳ饯欷长饯い瑜い琛干颏唷工肖辘恰⒁幌颏嗽獨荬訾骸⑴瑜辘辖稹ⅳ趣摔伐抛婴椁韦欷谱曰瞍筏郡い趣窑饯四瞍浮⒐し颏筏皮い毪猡韦巍ⅳà盲皮坤螭坤螗伐抛婴摔郡瑜椁胜堡欷肖胜椁唐颇郡摔胜盲啤⒓页訾吾崾四─浃楹韦浃椤ⅳ郅趣螭扇俊ⅳ长文肖蓼丹辘渭字菖问涝挙蚴埭薄ⅳい盲饯ψ苑证稀ⅴ伐抛婴藢潳贰⑺^「おどおど」しなければならぬ結果になったのでした。シヅ子の取計らいで、ヒラメ、堀木、それにシヅ子、三人の会談が成立して、自分は、故郷から全く絶縁せられ、そうしてシヅ子と「天下晴れて」同棲《どうせい》という事になり、これまた、シヅ子の奔走のおかげで自分の漫画も案外お金になって、自分はそのお金で、お酒も、煙草も買いましたが、自分の心細さ、うっとうしさは、いよいよつのるばかりなのでした。それこそ「沈み」に「沈み」切って、シヅ子の雑誌の毎月の連載漫画「キンタさんとオタさんの冒険」を画いていると、ふいと故郷の家が思い出され、あまりの侘びしさに、ペンが動かなくなり、うつむいて涙をこぼした事もありました。そういう時の自分にとって、幽かな救いは、シゲ子でした。シゲ子は、その頃になって自分の事を、何もこだわらずに「お父ちゃん」と呼んでいました。「お父ちゃん。お祈りをすると、神様が、何でも下さるって、ほんとう?」自分こそ、そのお祈りをしたいと思いました。ああ、われに冷き意志を与え給え。われに、「人間」の本伲蛑椁筏峤oえ。人が人を押しのけても、罪ならずや。われに、怒りのマスクを与え給え。「うん、そう。シゲちゃんには何でも下さるだろうけれども、お父ちゃんには、駄目かも知れない」自分は神にさえ、おびえていました。神の愛は信ぜられず、神の罰だけを信じているのでした。信仰。それは、ただ神の笞《むち》を受けるために、うなだれて審判の台に向う事のような気がしているのでした。地獄は信ぜられても、天国の存在は、どうしても信ぜられなかったのです。「どうして、ダメなの?」「親の言いつけに、そむいたから」「そう? お父ちゃんはとてもいいひとだって、みんな言うけどな」それは、だましているからだ、このアパ趣稳摔郡两预恕⒆苑证靡猡蚴兢丹欷皮い毪韦稀⒆苑证庵盲皮い搿ⅳ筏贰⒆苑证稀ⅳ嗓欷郅山预蚩植坤筏皮い毪⒖植坤工欷肖工毪郅珊盲臁ⅳ饯Δ筏啤ⅳ长沥椁虾盲欷毪群盲欷毪郅煽植坤贰⒔预殡xれて行かねばならぬ、この不幸な病癖を、シゲ子に説明して聞かせるのは、至難の事でした。「シゲちゃんは、いったい、神様に何をおねだりしたいの?」自分は、何気無さそうに話頭を転じました。「シゲ子はね、シゲ子の本当のお父ちゃんがほしいの」ぎょっとして、くらくら目まいしました。敵。自分がシゲ子の敵なのか、シゲ子が自分の敵なのか、とにかく、ここにも自分をおびやかすおそろしい大人がいたのだ、他人、不可解な他人、秘密だらけの他人、シゲ子の顔が、にわかにそのように見えて来ました。シゲ子だけは、と思っていたのに、やはり、この者も、あの「不意に虻《あぶ》を叩き殺す牛のしっぽ」を持っていたのでした。自分は、それ以来、シゲ子にさえおどおどしなければならなくなりました。「色魔《しきま》! いるか
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